【レポート】総勢13名登壇! 映画『火の華』公開記念舞台挨拶

11月1日(土)渋谷・ユーロスペースにて行われた公開記念舞台挨拶回は、満席御礼で迎えた映画『火の華』。登壇者は、監督・キャストら総勢13名。昨年12月に公開延期となった本作は、この度、満を持して劇場公開となり、登壇者達が会場の中に入ってくると、観客の皆さまには立ち上がり、大きな拍手と歓声に、スタンディングオベーションで迎えていただきました。

劇中にも登場し、花火職人として働く主人公らが着用している法被を纏い登場した小島央大監督は「約5年、この映画を作り始めてから、ようやくこの日を迎えられて本当に幸せです。作る前からもずっと考えていたことですが、なぜ花火が美しいんだろう、そして同時になんで映画が好きなんだろう、ということをずっと考えていました。キャストの皆さん、スタッフの皆さん、そして観客の皆さんとスクリーンで映画を観るという一体感を感じることができて、本当に幸せで仕方ありません」と喜びの言葉。

続いて、本作では小島監督と共同企画・脚本にも名を連ね、主人公・島田東介を演じた山本一賢さんは、凛々しくまっすぐに観客を見据えながら「今日は本当にありがとうございます。今日を迎えられて、なんとも言えない気持ちです。上映を決めてくださったユーロスペースさんには本当に感謝しています」と満席の観客と再上映に踏み切ってくれた劇場に感謝のコメントを残しました。

島田東助を花火師の道へと導く、名花火師の藤井与一を演じた伊武雅刀さんは「撮影は1年以上前ですが、多くの方に見ていただきたい映画なので、今日、こうやって実際に皆さんに見ていただけて幸せです」と喜びを語り、与一の娘で、島田のことを気にかける昭子を演じた柳ゆり菜さんは「この作品の大部分が新潟で撮影されていますが、私が撮影現場で見たり感じた新潟の自然の風景は、まるで呼吸音までもが聞こえるほど豊かで美しかったです。それをそのまま映画の中で体験できる映画というのは中々ないと思います」と本作の魅力を説明。

派遣先の南スーダンで島田が所属していた部隊の隊長で、銃撃戦に遭い行方不明となる伊藤を演じた松角洋平さんは「この日を迎えるまで色々とありましたが、今日という日をみんなで迎えられて本当に嬉しいです。思いがたくさん詰まった作品で、このような最高のメンバーで、なおかつ、撮影が終わった後も作品について話したりできるチームと出会えることはあまりないので、今日という日を迎えられて感慨深いです」と共演者との再会に喜び、島田の自衛隊時代の同僚、田中を演じた田中一平さんは声を震わせながら「撮影が終わってからも、(共演者らと)今日までも何回も会ったりと、この日をずっと待ち望んでいました」と続けました。

島田の同期で親友の古川を演じた原雄次郎さんは作中でも印象的なシーンとなった口笛を披露。作中の再現に、会場からは「おー」という歓声が飛び、「めっちゃ緊張してました」と照れ笑い。「自衛隊のメンバーとは、撮影の前も後もすごく一緒に長い時間過ごしてきて、今日を迎えられたことが胸がいっぱいです」。

同じく南スーダンに派遣された自衛官メンバーの一人、香川を演じた新岡潤さんは「公開が決まって、この作品の色んな宣材物が世に出始めて、それを見て僕は思わず泣いてしまいました。それぐらいの思いを持っていたのですが、そのことを“自衛隊”のLINEグループで話したら“お前、そんなんで泣いたのか”と笑われました」と会場の笑いを誘いました。

島田らが巻き込まれた“戦闘”を隠蔽した、島田らの上官・神崎を演じた山崎潤さんは、「私はそのLINEグループには入っていませんが...」と漏らすと、会場からはどっと笑いが。そして「私はこの作品にはオーディションを経て参加していますが、その時の相手役がまさかの主演の山本一賢でした。その時にどうしてもこの作品に参加したいと強く思ったことを今でも覚えています」とオーディションでのエピソードを披露。

神崎の妻で、自衛隊を束ねる防衛大臣の秘書官・経子を演じた遠藤祐美さんは「この(満席の)光景に感動しています。作品を撮ってから公開されることが当たり前じゃないこととか、こういう日を迎えられたということへのありがたさを今噛みしめています」と感慨深くコメント。

極左活動家を演じ、劇中後半のキーパーソンを演じたゆかわたかしさんは「今年、初めて長岡の花火を生で地元の方々と見させていただいたんですけれども、とても綺麗で、見てるだけで涙が出そうになりました。火薬は、戦争とかに使わず、花火で使おうよと平和な世の中が来てくれたらいいなと本当に思っています」と本作のモチーフにもなっている“火薬”の二面性を引き合いに、本作への思いを語りました。

除隊後、島田が密かに身を寄せることになる鉄工場での同僚、ジョン・ウスマンを演じた今村謙斗さんは「こうして多くの方に映画を見ていただけて、とても幸せに思います。素晴らしいキャストの皆さん、そしてスタッフの皆さんの力でここまで来れたと思います」と挨拶。

藤井煙火の社員で島田に花火づくりを手引きする安田を演じたYUTA KOGAさんは「この映画で自分が花火師を演じるということで、生半可な準備だと通用しないと思って、しっかり2週間3週間、長岡にある花火屋さんがいるところで修行させていただきました。再公開までの1年間の中でたくさんの思いが詰まり、今日その思いの花火を打ち上げることができて、自分は本当に感極まっております」と感謝の意を述べると、続けて「実はここに本当は登壇するはずだった自分の花火師の同僚を演じた高橋和明さんにも、打ち上げた花火が届くように皆さんぜひ、ご応援のほどよろしくお願いします。お祝い事も弔い事もぶち上げていきましょう」と、昨年8月に心筋梗塞で亡くなられた高橋和明さんへの弔いの言葉。

13人の思い思いの挨拶を終え、制作経緯を訊かれた小島監督は、「2021年に前作『JOINT 』を山本さん主演でやらせていただいたんですけど、そこからやっぱり山本さんとまた一緒に何を描くべきか、どういうキャラクターがいいのかっていうことを2人で話し合いました。僕は昔から花火が好きなんですが、花火を打ち上げている職人ってすごく謎めいた存在だなという思いがあって、その魅力を探っていきたいなというところも含めて花火職人が山本さんに似合うなという直感がありました」と説明。

撮影現場については「現場はすごく緊張感がありつつ、すごく楽しくて、スタッフ・キャストのみんながこの映画に対して魂を毎日注いでくれているのがわかりました。なので、撮ってるうちに「これは、いいものが出来上がるんじゃないか」っていう期待値も高まっていきました」と述懐。続けて山本さんが「撮影の時のことは、正直あんま覚えてないことが多いのですが、雰囲気ってうものは、そうですね、少なくてもチャラチャラしている人間は一人もいなかったですよね」と振り返ると、伊武さんは「チャラチャラしたところを見せないように努力しました」と冗談交じりで応じ、会場は大きな笑いに包まれた。

最後に伊武さんは「私はかれこれ100本以上の映画に出演していますが、この映画を見たときに“なかなかいいじゃないかと思いました。そんなことは初めてじゃないかな。こんなに嬉しいことは無いですよ」と小島監督や山本一賢さんら、これからの日本映画を背負っていく実力ある若い才能を絶賛し、舞台挨拶は大きな拍手に包まれ、幕を閉じました。

映画『火の華』は、ユーロスペースほか全国順次公開中。

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